空間トランスクリプトーム解析 Visium HD

スポット型空間トランスクリプトーム解析(Visium / Visium HD*1)とは

組織切片上の微小領域(既定のスポット)ごとに、空間情報を保持したまま網羅的な遺伝子発現解析が可能です。基板上に配置したスポットごとに転写産物(RNA)の種類と量を網羅的に計測することで、個々の遺伝子が発現する組織内の位置と量を検出することができます。そのため、シングルセルRNA-seqのような1細胞遺伝子発現解析法では失われていた空間的な位置情報を保ちつつ、約2万遺伝子に及ぶ網羅的な遺伝子発現解析を実施することが可能です。

病理組織学的特徴と発現プロファイルを対比することや、病理組織学的には明瞭に区別しにくい領域を発現プロファイルの類似度によって分類・特徴付けることができます。また、シングルセルRNA-seq等と合わせて解析することで、シングルセル解析で得られた遺伝子の機能と、組織内の局在を合わせて解釈することが可能です。さらに、組織内の空間配置を考慮した細胞系譜の推定にも活用できます。

空間オミクス解析の1種である空間トランスクリプトーム解析法は、3つのタイプに分けられます(詳細はこちら)。手法により得られる結果の空間解像度や検出遺伝子数は様々であるため、研究目的に合わせて最適な手法を選択することが重要です。

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用途

  • 病理組織における目的遺伝子の発現領域の同定
  • 病理学的特徴と発現プロファイルの対比
  • 網羅的な(約2万遺伝子の)発現情報を基にした組織内の各領域の分類および特徴付け
  • 組織内の各領域で特徴的に発現する遺伝子の同定(バイオマーカーの探索)
  • 組織内の位置情報を考慮したpseudotime解析による細胞系譜(分化経路)推定

※関連する解析サービス

このような方に

  • シングルセルRNA-seq等では遺伝子の組織における発現分布が分からずお悩みの方
  • 参考論文と同じような解析を自身のサンプルで実施したい方
  • 自身の研究目的に最適な実験デザインの検討から始めたい方
  • 簡易ソフトでは希望の解析ができず、目的の結果の取得にお困りの方
  • 各クラスタに含まれる細胞タイプの種類と割合を明らかにしたい方(deconvolution解析)
  • シングルセルRNA-seqと空間トランスクリプトームの統合的な解析をご希望の方
  • 論文や公共データベースで公開されているデータを用いた解析をご希望の方

当社の特徴

「当社が選ばれる5つの理由」  >

空間トランスクリプトーム解析法の種類


空間オミックス解析の1種である空間トランスクリプトーム解析法は、3つのタイプに大別されます。手法ごとに得られる結果が大きく異なるため、研究目的に合わせて最適な手法を選択することが重要となります。


①関心領域(ROI)タイプ
レーザーやUVなどで選択した組織切片上の関心領域について、通常のRNA-seq(トランスクリプトーム)解析を実施する手法です。病変部や腫瘍部などの関心領域における、バルク(集団の平均値)の網羅的な発現情報を取得可能です。しかしながら、個々の細胞の発現情報や空間的な位置情報を得ることはできません。


②スポットタイプ  >
基盤上に配置したスポット単位で、網羅的な遺伝子発現解析を実施する手法です。空間的な位置情報を保持しながら遺伝子発現解析が可能です。空間分解能の違いにより複数のタイプに分けられます。ひとつはVisium*1で、スポットのサイズやスポット間の距離により、1スポットに数十個程度の細胞が含まれたり、解析されない細胞が一定数生じるタイプです。もうひとつはVisium HD*1で、細胞とほぼ同サイズのスポットで、スポット間の隙間のない高解像度タイプです。これらのタイプは研究目的や予算により適切な使い分けが必要です。


③シングルセルタイプ  >
組織切片上のRNAを1分子ごとに検出し細胞境界情報と併せて解析することで、1細胞ごとにトランスクリプトーム解析を実施する手法です。個々の遺伝子が発現する位置(組織内の細胞)と量を計測する遺伝子発現解析ができます。通常の(空間情報を含まない)シングルセル解析の結果を基に注目する遺伝子を選択し、それらの遺伝子(細胞)の空間情報を取得することを主な目的に使用します。網羅的な遺伝子発現解析も可能ですが、検出遺伝子数については数百~数千遺伝子と網羅性に関してはまだ課題もあります。

Visium HD*1の空間分解能について

  • 解析範囲は6.5 mm四方の領域
  • 解析単位は8 µm四方のスポット(一般的な細胞と同サイズ程度)
  • 網羅的な遺伝子発現情報の取得は連続した微小領域(2 µm四方)ごと
  • 解析例1 口蓋裂を生じるPax9欠損マウスにおける形態形成関連遺伝子の発現分布

    Pax9の機能的欠損は口蓋棚(Palatal shelf)の閉鎖不全による口蓋裂を生じることが知られています。野生型およびPax9欠損型マウス胎児口蓋の組織切片から取得したスポット毎の空間トランスクリプトームデータ(Visium HDデータ*1)を用いて、形態形成に関連する遺伝子の発現分布を可視化しました。

    胚口蓋におけるPax9遺伝子の発現分布(マウス12.5日胚)

    胚口蓋におけるPax9遺伝子の発現分布(マウス12.5日胚)

    上段のHE染色像では、下部中央に舌(Tongue)、舌に覆いかぶさるように口蓋棚(Palatal shelf)があります。下段では、Pax9の発現分布をスポット毎にヒートマップで表示しました。野生型マウス(WT、下段左)では、OPを中心に口蓋棚全体に強く発現が見られましたが、Pax9 KOマウス(KO、下段右)では発現が大きく減少していました。 OP: Oral Palatal domain(口蓋棚の外側の領域)、NP: Nasal Palatal domain(口蓋棚の舌側の領域)。

    口蓋形成に関連するホメオボックス遺伝子の発現分布(マウス13.5日胚)

    口蓋形成に関連するホメオボックス遺伝子の発現分布(マウス13.5日胚)

    鼻骨の形成に関わるAlx1は、WT(上段左)ではNPで発現が見られましたが、KO(上段右)では発現が顕著に減少しました。顔面形成や歯の発生に関わるMsx1は、WT(下段左)ではOPで強く発現が見られましたが、KO(下段右)では若干の発現減少が見られました。 これらのhomeobox遺伝子の発現がPax9 KOにより影響を受けた可能性が考えられました。

    ShhおよびShh受容体の発現分布(マウス13.5日胚)

    ShhおよびShh受容体の発現分布(マウス13.5日胚)

    体軸形成や顔面形成に関わるShhは、WT(上段左)ではOPの表層に発現が見られました。Shhの抑制型受容体であるPtch1は、WT(下段左)ではOPを中心に口蓋棚全体に発現が見られました。Pax9 KOにより、いずれも顕著に発現の減少が見られ(右列) 、Shhの発現およびシグナルの制御に異常が生じていると考えられました。

    Wntシグナルの制御因子の発現分布(マウス13.5日胚)

    Wntシグナルの制御因子の発現分布(マウス13.5日胚)

    形態形成時の細胞増殖・分化を制御するWntシグナルに関連する遺伝子の発現分布を可視化しました。Wntシグナルを抑制するSfrp2は、WT (上段左)ではNPを中心に口蓋棚全体で発現が見られました。Wntシグナルを増強するLgr5は、WT(下段左)では主にOP表層で発現が見られました。Pax9 KOにより、いずれも発現の減少が見られ(右列) 、Wntシグナルの制御にも異常が生じていると考えられました。

    解析例一覧 >

    解析例2 腎臓組織における各領域の分類と特徴的に発現する遺伝子の検出

    マウス腎臓組織切片より取得したスポット(8um四方)ごとの高解像度な空間トランスクリプトームデータ(Visium HDデータ*2)を用いて、各スポットを発現プロファイルの類似度に基づいて分類し、各クラスタで特徴的に発現する遺伝子を検出しました。

    HE染色像とスポットごとに取得した発現情報との比較

    HE染色像とスポットごとに取得した発現情報との比較

    HE染色
    各領域の遺伝子発現分布

    マウス腎臓組織は組織学的に、Cortex(皮質)、Outer medulla(外髄質)、Inner medulla(内髄質)の3つの領域で構成されていることが知られています(左図)。スポットごとに発現情報を取得した組織切片上で、各領域での発現が知られている遺伝子の発現分布を表示しました(右図)。

    スポットのクラスタリング結果と各スポットに特徴的な遺伝子発現

    スポットのクラスタリング結果と各スポットに特徴的な遺伝子発現

    各スポットの遺伝子発現プロファイルを基に各スポットをクラスタリングし、その結果をUMAPにより二次元上にプロットしました(左図)。1つの点が1つのスポットを示します。各クラスタに特徴的な遺伝子の発現量と発現割合をドットプロットで図示しました(右図)。縦軸は遺伝子、横軸は各クラスタに対応しています。発現量をドットの色の濃淡で、発現しているスポットの割合をドットの大きさで示しました。

    各クラスタの発現変動遺伝子(Heatmap)

    各クラスタの発現変動遺伝子(Heatmap)

    各クラスタで特徴的な遺伝子をヒートマップを用いて可視化しました。縦軸は遺伝子、横軸は各クラスタに対応しています。各クラスタ内には、そのクラスタに属するスポット1つひとつが表されています。発現量が多い遺伝子は赤色、少ないものは青色で示しました。

    各スポットの組織切片像へのマッピング結果

    各スポットの組織切片像へのマッピング結果

    各スポットをクラスタリング結果に基づいて色分けし、位置情報に従って組織切片像に割り当てました。

    各クラスタの組織切片像へのマッピング(クラスタ毎)

    各クラスタの組織切片像へのマッピング(クラスタ毎)

    各クラスタを組織切片像に割り当てた結果を、クラスタ毎に表示しました。発現プロファイルやその他の解析結果を基に、各クラスタに属するスポットで主要な細胞タイプを推定しました。推定した細胞タイプは、組織学的に知られている領域と類似した分布を示していました。

    各クラスタに特徴的な遺伝子の発現分布

    各クラスタに特徴的な遺伝子の発現分布

    各クラスタに特徴的な遺伝子の発現量を、ヒートマップで表示しました。発現量が高いスポットほど赤色で表示しました。

    各クラスタに特徴的な遺伝子の発現分布(Violin plot)

    各クラスタに特徴的な遺伝子の発現分布(Violin plot)

    各クラスタに特徴的な遺伝子の発現量をバイオリンプロットで表示しました。縦軸は各遺伝子の発現量、横軸はクラスタ、バイオリン型の幅は密度分布(プロットされたスポットの密度)を示しています。このようにVisium HDで取得した高解像度で網羅的な発現情報に基づくスポットの分類結果は、組織学的な特徴を反映し、かつ各領域に特徴的に発現する遺伝子を同定することが可能です。

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    解析例3 肝細胞がんにおける線維化領域および免疫抑制シグナル伝達関連遺伝子の検出

    ヒト肝細胞がん病理切片より取得したスポット型空間トランスクリプトームデータ(Visiumデータ)を用いて、発現プロファイルを基に各スポットを分類し、線維化領域において特徴的に発現する遺伝子の検出を行いました。

    がん組織のHE染色像と各スポットの発現プロファイルに基づいた各領域の分類結果

    がん組織のHE染色像と各スポットの発現プロファイルに基づいた各領域の分類結果

    HE染色
    各スポットの組織切片へのマッピング

    各スポットの網羅的な発現情報(発現プロファイル)に基づいてスポットをクラスタリングし、各スポットの位置情報に従ってHE染色像(左図)に各スポットを割り当てると、形態学的特徴や空間的配置との対応が見られました(右図)。HE染色像から判断した線維化領域を▲で示しています。クラスタ1(C1)は、 HE染色像から判断した線維化領域に対応していました。

    スポットのクラスタリング結果と各スポットに特徴的な遺伝子発現

    スポットのクラスタリング結果と各スポットに特徴的な遺伝子発現

    各スポットのクラスタリング結果をUMAPにより二次元上にプロットしました(左図)。1つの点が1つのスポットを示します。各点には各スポットの発現プロファイルが紐づいており、発現が類似しているほど各点は基本的には近くに配置されます。各クラスタで特徴的な遺伝子の発現量と発現割合をドットプロットで図示しました(右図)。縦軸は遺伝子、横軸は各クラスタに対応しています。遺伝子の発現量をドットの色の濃淡で、遺伝子を発現しているスポットの割合をドットの大きさで示しました。

    線維化領域に特徴的な遺伝子の発現

    線維化領域に特徴的な遺伝子の発現

    病理切片上のクラスタ1(C1:線維化領域)を茶色に表示しました(左図)。 HE染色像から判断した線維化領域を▲で示しています。また、線維化領域で特徴的に発現する遺伝子の発現量をバイオリンプロットで図示しました(右図)。線維化に関連する遺伝子が、C1で特徴的に発現していました。尚、C6は平滑筋細胞が多く存在する領域と推定され、線維化領域とは区別しています。

    TGFβシグナル伝達関連遺伝子の発現分布

    TGFβシグナル伝達関連遺伝子の発現分布

    線維化に関与することが知られているTGFβシグナルの関連遺伝子の発現量を、HE染色像上にヒートマップで示しました。いずれの遺伝子も、C1で特徴的に発現していました。また、 TGFβは免疫抑制性サイトカインとしてもよく知られています。そこで次に、その他の免疫抑制シグナル伝達経路についても検討しました。

    免疫抑制シグナル伝達関連遺伝子群の発現分布(スコアリング表示)

    免疫抑制シグナル伝達関連遺伝子群の発現分布(スコアリング表示)

    腫瘍には制御性T細胞(Treg)や腫瘍関連マクロファージなどの免疫抑制に関与する細胞が存在し、抗腫瘍免疫応答の抑制に関与することが知られています。免疫抑制に関わるシグナル伝達経路に関連する遺伝子群の発現量をスコアリングして、ヒートマップで示しました。スコアが高い(スポットが赤色)ほど、各シグナル伝達関連遺伝子群の発現量が高いことを示します。線維化領域(▲)では、免疫抑制に関わるシグナル伝達経路が活性化していると考えられます。


    スポット型の空間トランスクリプトーム解析では、空間情報が紐づけられた遺伝子発現解析により、組織学的特徴と発現プロファイルを対比することや、組織学的には明瞭に識別しにくい領域を発現プロファイルによって分類し特徴付けることが可能です。

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    解析例4 抗がん剤短期及び長期抵抗性獲得によるがん微小環境(niche)の違い

    EGF受容体変異を有する非小細胞肺がんの治療にはEGF受容体阻害剤が有効ですが、最終的には治療抵抗性が獲得されます。一部の患者では短期間に治療抵抗性が獲得されますが、抵抗性の獲得機構の詳細は不明です。 非小細胞肺がん組織の空間トランスクリプトームデータを使用し、EGF受容体阻害剤治療後に短期に抵抗性を獲得したがん(ER:early resistance)と抵抗性獲得に長期間を要したがん(LR:long term resistance)でニッチの特徴を比較しました。

    非小細胞肺がんに含まれる細胞タイプ

    非小細胞肺がんに含まれる細胞タイプ

    非小細胞肺がんに含まれる細胞タイプ

    短期間に薬剤抵抗性を獲得したがん(ER:early resistance)と長期間を要したがん(LR:long term resistance)の薬剤投与前のVisium HDデータから細胞ごとの発現プロファイルを推定した後、以降の解析を実施しました。発現プロファイルの類似度に基づいて細胞をクラスタリングした結果をUMAPで示しました(左図) 。各細胞タイプに特徴的な遺伝子の発現をバイオリンプロットで示しました(右図) 。縦軸は遺伝子、横軸は細胞タイプを示します。がん細胞は3種類(Tc_SCG3A1 : SCG3A1高発現腫瘍細胞、Tc_TMSB4X : TMSB4X高発現腫瘍細胞、Tc_MMP7:MMP7高発現腫瘍細胞)に分類されました。

    各ニッチを構成する細胞タイプの割合

    各ニッチを構成する細胞タイプの割合

    各ニッチを構成する細胞タイプの割合

    非小細胞肺がんを構成する細胞の空間的な分布からニッチを同定しました。グラフの縦軸は各ニッチを構成する細胞タイプの割合を合計1として表示し、横軸はニッチを示しています。3種類のがん細胞のそれぞれを含むCN2(Tc_MMP)、CN3(Tc_TMSB)、CN5(Tc_SCGB)など6種類のニッチに分類されました。

    短期耐性獲得例(ER)と長期耐性獲得例(LR)における各ニッチの割合と分布

    短期耐性獲得例(ER)と長期耐性獲得例(LR)における各ニッチの割合と分布

    短期耐性獲得例(ER)と長期耐性獲得例(LR)における各ニッチの割合と分布

    ERおよびLRそれぞれのがん組織におけるニッチの空間分布を示しました。図中のそれぞれの点は細胞を示しており、ニッチごとに色分け表示しました。 ERおよびLRのニッチの構成比をグラフに示しました(右図) 。グラフの縦軸はそれぞれのがん組織を構成するニッチの割合を合計1として表示し、横軸はERおよびLRを示します。ERでは、MMP7およびTMSB4Xを高発現するがん細胞を多く含むCN2、CN3の割合が高くなっていました。

    組織におけるニッチと細胞タイプの分布

    組織におけるニッチと細胞タイプの分布

    組織におけるニッチと細胞タイプの分布

    がん組織におけるニッチの空間分布(上段)と、各ニッチに含まれる細胞タイプの空間分布(下段)を示しました。図中のそれぞれの点は細胞を示しており、ニッチおよび細胞タイプごとに色分け表示しました。ニッチの分布からは、領域ごとの特徴をより俯瞰して把握することが可能です。

    マクロファージにおけるニッチによる遺伝子発現の差

    マクロファージにおけるニッチによる遺伝子発現の差

    マクロファージにおけるニッチによる遺伝子発現の差

    TAM (tumor associated macrophage) で発現が増加するCTSL、およびマクロファージに特徴的に発現するMSR1の発現量を示しました(左図)。マクロファージを比較的多く含むCN3、CN4、CN5について、マクロファージにおけるMSR1、CTSLの発現量をニッチごとに示しました(右図)。ERに多く見られるCN3ではCTSLの発現量が増加しているのに対し、正常組織と考えられるCN4、LRに多く見られるCN5ではCTSLの発現量増加は見られませんでした。ERの細胞ニッチは、薬剤投与前の時点で既にマクロファージに対する影響が異なる可能性が考えられました。

    解析例一覧 >

    サービス概要

    予め解析方法や条件が決まっている定型的な解析サービスではありません。研究目的に合わせて実験・解析デザインを立案し、最適化した手法・条件で各工程の解析作業を実施します。研究計画の立案を始め、解析結果の解釈、今後の解析方針のご提案、論文化まで、お客様のご要望に応じて伴走支援します。ウェット実験とデータ解析の経験豊富な専門技術者と、打ち合わせを重ねながら解析を進めることができるため、よりご希望に合致した結果の取得、より深い結果の解釈に繋がります。

    サービス内容

    • ヒアリング
    • 事前打ち合わせ、実験デザイン策定
    • 組織切片/ブロック作製サポート
    • 検体受入検査
    • ウェット実験、データ解析(※解析フローはこちら >
    • 中間打ち合わせ
    • 納品および解析結果打ち合わせ(納品説明、結果解釈、今後の方針)
    • 各種コンサルティング(論文化サポート、リバイス対応、解析方針や今後の研究計画のご提案等)

    参考価格 / 納期

    ご要望により異なりますのでお問い合わせ下さい。

    解析条件

    • 検出遺伝子数 : ヒト18,000遺伝子以上、マウス21,000遺伝子以上
    • データ解析  : 研究目的に沿った最適な手法で実施します

    ※TCR、Ig J及びV領域、リボソームタンパク質、HLA、KIR、lncRNA等の遺伝子は検出不可

    解析フロー


    組織切片・ブロック イメージング

    ハイブリダイゼーション

    ライブラリ調製

    シーケンシング
    画像・シーケンスデータ 発現量推定

    クラスタリング

    発現変動遺伝子抽出

    組織切片へのマッピング

    高次解析
    解析結果
    ① 組織切片 / ブロックから解析 
    ② 画像・シーケンスデータから解析

    受入物

    ① 組織切片 / ブロックから解析 ② 画像・シーケンスデータから解析
    受入物

    【 FFPE切片の場合 】

    • 解析用切片 x2から
    • 受入検査用切片 x各3

    【 FFPEブロックの場合 】

    • FFPEブロック x2から

    【 凍結組織切片の場合 】

    • 解析用切片 x2から
    • 受入検査用切片 x各3

    【 凍結組織ブロックの場合 】

    • 凍結組織ブロック x2から
    • HE染色または免疫蛍光染色の画像データ
    • 顕微鏡撮影画像データ
    • シーケンスデータ(FASTQファイル)







    生物種
    • ヒト、マウス
    受入条件

    【 FFPE切片の場合 】

    • 4℃保存FFPEブロックより作成
    • 切片サイズ W:6.5mm x H:6.5mm以内
    • 解析用切片は指定スライドに貼付
    • 解析用切片厚 5µm
    • 受入検査用切片厚10-20µm
    • DV200 ≧ 30%(弊社測定実施)
    • 切片に損傷や重なりがないこと
    • 乾燥剤同梱、4℃保存

    【 FFPEブロックの場合 】

    • ブロックを台座に乗せて提出
    • 断面 W:6.5mm x H:6.5mm以内
    • DV200 ≧ 30%(弊社測定実施)
    • 乾燥剤同梱、4℃保存
    • 数年以上経過したブロックは非推奨

    【 凍結組織切片の場合 】

    • -80℃保存凍結ブロックより作成
    • 切片サイズW:6.5mm x H:6.5mm以内
    • 解析用切片は指定スライドに貼付
    • 解析用切片厚 10µm
    • 受入検査用切片厚10-20µm
    • RIN ≧ 4.0(弊社測定実施)
    • 切片に損傷や重なりがないこと
    • ドライアイス同梱

    【 凍結組織ブロックの場合 】

    • OCT包埋組織を提出
    • 断面 W:6.5mm x H:6.5mm以内
    • RIN ≧ 4.0(弊社測定実施)
    • ドライアイス同梱
    • 数年以上経過したブロックは非推奨

    【 計測法 】

    • 10x Genomics社 Visium*1
    • 10x Genomics社 Visium HD*1
    • GCATbio社 STOmics*3(Stereo-seq)
    ※上記のほか、様々な計測データに対応


























    その他
    • 切片はISHにてRNA有無確認推奨
    • 1スライドに複数切片貼付可
    • 弊社にてHE染色後、高解像度画像取得可
    • 指定スライドは弊社より送付可
    • 切片作成、HE染色は別途費用
    • 骨組織は要相談
     
    以下の情報をお知らせください
    • 研究目的
    • 生物種
    • 由来組織
    • 検体数(切片数)

    検体の準備と提出方法

    理想的な解析結果を取得するためには、適切な手順で切片を作製し、RNAの分解を防ぐことが重要です。弊社では、下記の手順で切片のRNA品質の確認作業を事前に行い、その後本解析を実施します。(詳細は別途ご案内)

      【 切片の場合 】
    1. 新鮮組織を使用して適切な条件でFFPE/凍結組織ブロックを作成
    2. すぐにFFPE/凍結組織ブロックから目的領域の切片を作成(解析用切片)
      ※切片を貼付する専用スライドは弊社よりご提供可
    3. 隣接する切片は受入検査用切片として確保
    4. 解析用切片、受入検査用切片を弊社受託解析窓口へ送付

    5. ----- 以降、弊社で実施します -----
    6. 弊社で受入検査を実施し結果をご報告
    7. 受入検査のPassを確認後、解析用切片で本解析を実施
      【 ブロックの場合 】 
    1. 新鮮組織を使用して適切な条件でFFPE/凍結組織ブロックを作成
    2. すぐにFFPE/凍結組織ブロックを弊社受託解析窓口へ送付

    3. ----- 以降、弊社で実施します -----
    4. 解析用切片を作成(薄切しHE染色後、目的領域をお客様に確認)
    5. 隣接する切片を受入検査用切片として確保
    6. 受入検査を実施
    7. 受入検査のPassを確認後、解析用切片で本解析を実施

    納品物

    ① 組織切片から解析

    • 解析報告書
    • シーケンスデータ
    • HE染色画像データ
    • クラスタリング結果
    • クラスタリング結果の空間分布画像データ
    • 各遺伝子のクラスタリング結果上の発現分布
    • 各遺伝子の空間上の発現分布
    • 各種遺伝子リストなど

    ② 画像・シーケンスデータから解析

    • 解析結果報告書
    • クラスタリング結果
    • クラスタリング結果の空間分布画像データ
    • 各遺伝子のクラスタリング結果上の発現分布
    • 各遺伝子の空間上の発現分布
    • 各種遺伝子リストなど

    ※実際の納品物はご依頼内容により異なります。

    御見積の流れ

    1. 下記の項目をご連絡下さい。
      研究目的(概要) / 検体の種類(由来組織) / 検体数 / 希望納期
    2. 弊社からお送りする「お問い合わせフォーム」にご要望の詳細をご記入下さい。
    3. 3営業日以内に御見積価格(概算)をご連絡致します。

    お問い合わせ / 御見積依頼方法

    こちらよりお問い合わせください  >
    専門技術者が原則24時間以内にご連絡します。(土日祝日は除く)

    御見積依頼の場合

    ご依頼内容により御見積価格は異なります。御見積をご希望の場合は「お問い合わせフォーム」をお送りします。

    実験や解析に関するご相談の場合

    ウェブ相談は30分無料です。事前に「お問い合わせフォーム」に必要事項をご記入下さい。

    よくあるご質問(FAQ)

    研究目的やサンプルに合わせて実験デザインや解析方針を策定し、ウェット実験とデータ解析の経験豊富な専門技術者と打ち合わせを重ねながら、解析作業を進める双方向型の解析サービスです。目的に合わせて最適化した実験や解析作業の実施はもちろん、組織切片やブロック作製のサポート、結果の解釈、論文化の支援、次の解析の提案まで伴走支援します。空間解析が初めての方は、安心して解析を始めることができ失敗リスクの低減にも繋がります。解析経験者は、これまでの解析結果や課題を踏まえ、より適切な解析手法の選定や再解析の検討、論文化に向けたデータの深掘り、不足データの追加取得まで効率的に進めることができます。
    実験やデータ解析の方法・条件は、研究目的を踏まえて検討する必要があります。そのため当社では、研究目的を伺った上で、最適な方法と条件をご提案しております。どのような研究目的であっても同一条件で実施するのではなく、方法や条件を丁寧に検討することが、理想的な結果の取得につながります。

    ご注意事項

    • 受入物を品質検査した結果、解析をお引き受けできない場合があります。
    • データ解析トレーニングは行っていません。

    参考文献

    Piña, J.O. et al. "Single Cell Spatial Transcriptomics of the Murine Embryonic Palate Links Pax9 to Patterning and Organization of Extracellular Matrix Components." Preprint at In Review (2025).doi: 10.21203/rs.3.rs-5969552/v1

    Giraud et al. "TREM1+ regulatory myeloid cells expand in steatohepatitis-1 HCC and associate with poor prognosis and therapeutic resistance to immune checkpoint blockade" BioRxiv. doi: 10.1101/2022.11.09.515839

    Nakamoto et al. "Spatial dynamics of the tumor microenvironment in emerging resistance to targeted therapy in EGFR-mutated NSCLC" BioRxiv preprint doi: 10.1101/2025.02.10.637543

    *1  10x Genomics社の商品名または登録商標です。
    *2  10X Genomics社より計測データをご提供頂きました。
    *3  GCATbio社の商品名または登録商標です。