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当社ジエンブルのメンバーが綴る技術系ブログ
研究相談や解析業務で培った知見をもとに、研究に役立つテーマを技術者目線でわかりやすく発信します。
シングルセル解析とは?
シングルセルオミクス解析について

シングルセル解析を広義に定義するならば「単一細胞を解析する手法」となり、古くは細胞の顕微鏡観察、パッチクランプ、フローサイトメトリーなどを含む極めて広範な概念です。もっとも、最近隆盛を極めているのはシングルセルオミクス解析で、単にシングルセル解析といった時にはシングルセルオミクス解析の意図で使われることが一般的です。そこで、ここからはシングルセルオミクス解析を「シングルセル解析」と表記して話を進めます。
シングルセル解析をごく簡単に定義すると、「単一細胞レベルでゲノム、転写産物、エピゲノム、タンパク質、代謝物などを網羅的に解析する手法」となります。シングルセル解析の対象分野としては、ゲノムや転写産物が歴史も古く、現在最も一般的なシングルセル解析の研究分野となっています。増幅が出来ず、個々に物性が異なり、極微量の網羅的解析が難しく、どの細胞に由来するかを示す細胞バーコード標識によるハイスループット化が困難なタンパク質や代謝物は、現時点では網羅性や感度が限定された解析となっています。
なぜシングルセル解析なのか?
シングルセル解析とは、単一細胞レベルでゲノム、転写産物、エピゲノム、タンパク質、代謝物などを網羅的に解析する手法である、という定義を聞いた時、「結局、シングルセル解析は何を知りたい時に使えば良いの?何が有利なの?」という感想を持たれた方もいることでしょう。シングルセル解析を行う意義、すなわち、単一細胞の情報を網羅的に取得する事の大きな意義は、細胞集団の平均像ではなく細胞個々の性質を解析できることと、解析には必ずしも作業仮説が必要ではないことです。
細胞を個々に識別する事の意味
細胞個々の性質を解析できることで可能になる解析としては、例えばがん細胞個々のゲノム解析により、がんが悪性化する過程や、転移したがんの細胞系譜をSNV解析によって追跡する解析などがあります。また、バルクRNA-seq解析では背景ノイズに埋没して検出できないような、少数の細胞で起こった変化もシングルセルRNA-seq解析では検出可能となります。個別の細胞の性質や、集団の中の一部の細胞について議論したい場合にはシングルセル解析は極めて強力な手法と言えます。
仮説駆動型研究とデータ駆動型研究
次にもう一つの意義である、作業仮説を必要としない点について説明します。例えば、通常の実験で行われる非網羅的解析では、何らかの仮説に基づいて実験を行い、仮説から予想される変化を検出します。「~の発現変化をRT-PCR/ウェスタンブロッティング/免疫染色により検出した」と結果が記述される、特定のプローブにより対象の存在量を検出するタイプの解析が代表です。予想した変化が起きていなければ、仮説を再構築して新たにデザインした実験をやり直すことになります。これに対して、網羅的解析であるシングルセル解析の強力な点は、そのサンプルから得られるデータは全て(しかも細胞ごとに)取得済であり、取得済データに基づいて仮説を構築可能な点です。さらには、構築した仮説を補強するためのデータが、取得済データに既に含まれていることもあります。ある細胞に特定の変化が起こる事は既知だが、その他の変化も作業仮説も不明、他の細胞の変化なども不明、という場合に、仮説の構築>検証実験デザイン>実験実施と評価、を繰り返し、仮説駆動型(モデルドリブン)に研究を進める代わりに、起こった変化の情報を最初に全て取得し、それに基づいて仮説を構築する、データ駆動型(データドリブン)に研究を進める事によって、仮説構築までの時間を短縮して研究を加速する事が可能となります。
まとめ
シングルセル解析は、細胞の個別性が意味を持つ研究テーマで圧倒的な強みを発揮します。また、興味深い生命現象は見出しているものの、その詳細が不明だったり、作業仮説がないような探索段階での研究で、蓋然性が高い仮説を構築するまでの時間を短縮したい場合にもきわめて強力です。しかし網羅的解析であっても、サンプルの中にない情報は取得できないため、サンプルが研究目的に必要な情報を持つように実験をデザインすることが重要となります。
株式会社ジエンブルは、豊富な実績を持つオミクス解析の専門会社です。
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