RNA velocity解析による細胞動態の推定

げっ歯類の切歯は生涯伸び続けることが知られています。これはげっ歯類の切歯の根元に存在する幹細胞が、歯のエナメル質を形成するエナメル芽細胞を継続的に供給していることによります。spliced RNAとunspliced RNAの割合の違いから細胞状態遷移の向きと大きさを推定する手法であるRNA velocity解析により、切歯基部の細胞動態を解析しました。

細胞のクラスタリング結果(3,296 cells, 1群、n=1, UMAP)

細胞のクラスタリング結果(3,296 cells, 1群、n=1, UMAP)

エナメル芽細胞と前駆細胞を含むマウス切歯基部の上皮細胞をクラスタリングしました。PCAにより発現プロファイルの次元削減を行い、クラスタリング結果をUMAPにより二次元上に可視化しました。
3次元プロットはこちらからご覧頂けます。※プロットはドラックして回転、マウスのホイールで拡大、縮小が可能です。読み込みに時間が掛かる場合があります。

各クラスタに特徴的な遺伝子発現分布

各クラスタに特徴的な遺伝子発現分布

切歯基部の前駆細胞はゆっくりと細胞周期が進行していること、エナメル芽細胞は切歯の近位から遠位に向けて分化が進むことが知られています。S期およびG2/M期に特徴的な遺伝子と、エナメル芽細胞に特徴的な遺伝子の発現分布を示しました。

RNA velocityを用いた細胞動態の可視化

RNA velocityを用いた細胞動態の可視化

RNA velocity解析により細胞動態を解析しました。矢印は状態変化の方向と大きさを示します。前駆細胞の細胞周期進行と、エナメル芽細胞の分化に伴う状態変化が特徴的に検出されました。