抗原提示細胞の分化経路推定(trajectory analysis)

ヒト単球(Monocyte)を適切な培養条件で分化誘導すると、CD1+樹状細胞(Dendritic cell)やCD16+マクロファージ(Macrophage)に分化することが知られています。がん患者腹水から樹状細胞としてCD1c+/CD16細胞、マクロファージとしてCD1c/CD16+細胞、末梢血中より単球としてCD14+細胞をFACSにより分取し、Single cell RNA-seqを行ったデータを使用して解析を行いました。

細胞のクラスタリング結果(4,002 cells, 3群、t-SNE)

細胞のクラスタリング結果(4,002 cells, 3群、t-SNE)

PCAによる次元削減後に細胞のクラスタリングを行い、t-SNEにより二次元上に可視化しました。右図はクラスタごと、左図はFACS分取した由来細胞タイプごとに色分け表示しました。腹水より採取された樹状細胞およびマクロファージは単球由来であることが示されており、これらの細胞の発現プロファイルを用いて分化経路推定を行いました。

 1: mo-derived dendritic cell 1  2: macrophage 1
 3: macrophage 2  4: monocyte
 5: mo-derived dendritic cell 2  6: end-stage mo-derived dendritic cell

PCAによる次元削減後に細胞のクラスタリングを行い、t-SNEにより二次元上に可視化しました。右図はクラスタごと、左図はFACS分取した由来細胞種ごとに色分け表示しました。腹水より採取された樹状細胞およびマクロファージは単球由来であることが示されており、これらの細胞の発現プロファイルを用いて分化経路推定を行いました。

 1:  mo-derived dendritic cell 1
 2:  macrophage 1
 3:  macrophage 2
 4:  monocyte
 5:  mo-derived dendritic cell 2
 6:  end-stage mo-derived dendritic cell  

分化経路推定(trajectory analysis)

cluster pseudotime

分化経路推定(trajectory analysis)

cluster pseudotime

特徴的な遺伝子発現情報を基に発現プロファイルの次元削減を行い、二次元上に分化経路を再構築しました。再構築した経路に沿って各細胞を配置し、個々の細胞の擬時間(pseudotime)を算出しました。左図はクラスタごと、右図は擬時間に従って細胞を色分け表示しました。

擬時間経過による遺伝子発現変化(Heatmap)

macrophage monocyte dendritic cell

擬時間経過による遺伝子発現変化(Heatmap)

macrophage monocyte dendritic cell

擬時間変化に伴って発現量が変動した遺伝子を網羅的に抽出し、各遺伝子の発現量をヒートマップ表示しました。ヒートマップ中央を分化(および擬時間)の始点(monocyte)として、左側がmacrophage、右側がdendritic cellに分化する方向に擬時間経過を表示しました。

擬時間経過による各遺伝子の発現変化

Monocyte / Macrophage markers Dendritic cell markers

擬時間経過による各遺伝子の発現変化

Monocyte/Macrophage Dendritic cell 

擬時間経過に伴って変化する遺伝子の中から、既知のdendritic cellおよびmonocyte / macrophageマーカー遺伝子を抽出し、擬時間経過に伴う発現量変化をプロットしました。縦軸は発現量、横軸は擬時間経過、着色された各点は個々の細胞を示しています。擬時間は、始点を0、それぞれの経路の終点を100として表示しました。実線がdendritic cell側、点線がmacrophage側に分岐した細胞での発現量変化を示しています。

擬時間経過による遺伝子発現変化(分化経路上にプロット)

Monocyte / Macrophage marker Dendritic cell marker

擬時間経過による遺伝子発現変化(分化経路上にプロット)

Monocyte/Macrophage Dendritic cell 

分化経路推定を行った二次元プロット上に、dendritic cellおよびmonocyte / macrophageマーカー遺伝子の発現量変化をプロットしました。各マーカー遺伝子の擬時間経過に伴う発現増加が確認できます。