ヒト肺腺がん組織における制御性T細胞(Treg)の局在
ヒト肺腺がん組織より取得したシングルセル空間トランスクリプトームデータ(Xeniumデータ*4、1細胞ごとの発現情報と位置情報)を用いて、組織内の各細胞タイプの局在推定、各細胞タイプに特徴的に発現する遺伝子の検出、およびその遺伝子(RNA分子)の細胞内局在を可視化しました。
細胞のクラスタリング結果 (497,763cells, UMAP)
細胞のクラスタリング結果 (497,763cells, UMAP)
各細胞の遺伝子発現情報(発現プロファイル)を、情報のロスを極力抑えつつ低次元に変換しました。その後、発現プロファイルの類似度に基づいて細胞をクラスタリングし、その結果をUMAP*5により二次元上にプロットしました。1つの点が1個の細胞を示します。各点には細胞の発現プロファイルが紐づいており、発現が類似しているほど各点は基本的には近くに配置されます。
各細胞タイプに特徴的な遺伝子発現(Dot plot)
各細胞タイプに特徴的な遺伝子発現(Dot plot)
各細胞タイプ(クラスタ)に特徴的な遺伝子の発現量と発現細胞割合をドットプロットで図示しました。縦軸は遺伝子、横軸は各細胞タイプに対応しています。発現量をドットの色の濃淡で、発現している細胞の割合をドットの大きさで示しました。
各細胞の組織切片像へのマッピング結果
各細胞の組織切片画像へのマッピング結果
クラスタリング結果に基づいて細胞を色分けし組織切片画像(空間座標)にプロットすることで、組織中の各細胞タイプの局在を可視化しました。1つの点が1個の細胞を示します。
各細胞の組織切片像へのマッピング結果(細胞タイプ毎)
各細胞の組織切片画像へのマッピング結果(細胞タイプ毎)
組織中の各細胞タイプの局在を細胞タイプごとに表示しました。
肺腺がん微小環境における腫瘍細胞および制御性T細胞(Treg)の局在
肺腺がん微小環境における腫瘍細胞および制御性T細胞(Treg)の局在
各細胞の位置情報と細胞境界線情報を基に、肺腺がん組織における上皮細胞(腫瘍細胞)とTregの分布を図示しました。また、上皮細胞、Tregの各マーカーであるEPCAM(中段左図)、FOXP3とCTLA4(下段)、さらに、TregのFOXP3の発現を誘導し免疫抑制作用を促進するAREG(中段右図)の発現量をヒートマップで示しました。発現量が高い細胞は赤色、低い細胞は白色で表示しました。 AREGは主に腫瘍細胞に発現が見られ、Tregはその細胞の周囲に局在していました。
AREGおよびFOXP3 RNA分子の空間上での発現分布
AREGおよびFOXP3 RNA分子の空間上での発現分布
AREGおよびFOXP3の細胞内の分布をRNA1分子レベルでプロットしました(右図)。このようにシングルセル空間トランスクリプトーム解析法では、組織内の細胞の種類と分布を明らかにでき、さらに各細胞タイプに特徴的に発現する遺伝子やその遺伝子(RNA分子)の細胞内局在も検出することが可能です。
