マウス胎子肝臓の造血幹・前駆細胞に隣接して存在する細胞タイプの同定

マウス胎子肝臓を用いたシングルセル空間トランスクリプトームデータ(MERSCOPE*3データ)における検出遺伝子の不足を、同一組織で実施したシングルセルRNA-seqデータで補完し、造血幹・前駆細胞(以下、HSPC)の微小環境を構成する細胞(種類と位置)と発現する遺伝子(種類、量、位置)を高感度に検出しました。

解析の概略図

解析の概略図

解析の概略図

補完したデータによる細胞のクラスタリング結果 (40,864 cells, UMAP)

補完したデータによる細胞のクラスタリング結果 (40,864 cells, UMAP)

補完したデータによる細胞のクラスタリング結果 (40,864 cells, UMAP) 補完したデータによる細胞のクラスタリング結果 (40,864 cells, UMAP)

シングルセルRNA-seqデータで補完したシングルセル空間トランスクリプトームデータを用いて、遺伝子発現プロファイルの類似度に基づいて細胞をクラスタリングし、その結果をUMAPにより二次元上にプロットしました。1つの点が1個の細胞を示します。

各細胞タイプに特徴的な遺伝子の発現分布

各細胞タイプに特徴的な遺伝子の発現分布

各細胞タイプに特徴的な遺伝子の発現分布

各細胞タイプで特徴的に発現している遺伝子の発現分布を図示しました。このような発現プロファイルやその他の解析をもとに、各クラスタの細胞タイプを推定しました。

各細胞の組織切片像へのマッピング結果

各細胞の組織切片像へのマッピング結果

各細胞の組織切片像へのマッピング結果

各細胞の位置情報と細胞境界線情報を基に、組織における各細胞タイプの局在を図示しました。上図は組織切片上の一部の領域を示します。

各遺伝子の組織切片における発現分布

各遺伝子の組織切片における発現分布

各遺伝子の組織切片における発現分布

各細胞タイプに特徴的な遺伝子の発現量を、ヒートマップで表示しました。発現量が高い細胞は赤色、低い細胞は白色で示しました。

血管内皮細胞クラスタの再クラスタリング結果(4,900 cells, UMAP)

血管内皮細胞クラスタの再クラスタリング結果(4,900 cells, UMAP)

血管内皮細胞クラスタの再クラスタリング結果(4,900 cells, UMAP)

全細胞のクラスタリング結果から、血管内皮細胞と推定された細胞集団を抽出した後、再度クラスタリングを行いました。

HSPCマーカー遺伝子の発現分布

HSPCマーカー遺伝子の発現分布

HSPCマーカー遺伝子の発現分布

造血幹・前駆細胞(HSPC)で特徴的に発現している遺伝子の発現分布を図示しました。このようにシングルセルRNA-seqデータで補完することで、検出遺伝子数が限られるシングルセル空間トランスクリプトーム解析でも、より高感度に希少な細胞集団を検出することが可能です。

HSPC近傍における血管内皮細胞のエンリッチメント

HSPC近傍における血管内皮細胞のエンリッチメント

HSPC近傍における血管内皮細胞のエンリッチメント

再クラスタリングにより検出したHSPCを、組織切片画像にマッピングし、HSPC近傍に存在する細胞タイプを可視化しました。左図は組織切片上の特定の領域について表示し、白枠で囲った領域を右図で拡大表示しています。多くのHSPCは、血管内皮細胞と隣接して存在していることが観察されました。EC:血管内皮細胞、HSPC:造血幹・前駆細胞